滋賀水口工場の品質保証部ファインケミカル品質保証課の山本拓也課長(中央)、
同・武知真理子さん(右)、ファインケミカル製造部(水無瀬)の山脇大輝さん(左)
2025年5月、積水化学グループが、Huaweiより「サプライヤー品質最優秀賞」を授与されました。本賞は、積水化学グループの開発・製造、そして品質保証部門が一体となって成し遂げた大きな成果といえるでしょう。今回は、Huaweiへ納入している代表的な製品の一つである、「フォトレックB」の品質保証の取り組みをご紹介します。
世界各国のサプライヤーの中から
選ばれた栄誉
Huaweiの「サプライヤー品質最優秀賞」は、1年に一度、世界各国の数百社におよぶHuaweiのサプライヤーの中から選ばれる栄誉ある賞です。Huaweiの購買・品質部門が選定を担っており、開発力と品質保証力の両面で成果を上げた企業に対して贈られます。サプライヤーとしての総合力が求められる賞といってもよいでしょう。

積水化学グループは、ファインケミカル事業部の製品(フォトレックB)、新事業推進部HIプロジェクトの高粘度インクジェット用インク、積水ポリマテックの柔軟絶縁放熱シートRamielシリーズがHuaweiに採用されています。



Huaweiが着目した
弾性レジン接着剤「フォトレックB」
滋賀水口工場のファインケミカル製造部がHuaweiに供給しているのが「フォトレックB」と呼ばれる弾性レジン製品です。「フォトレックB」は、主にスマートフォン向けに用いられる特殊接着剤で、ゴムのように柔軟で変形後に元の形に戻る特性(弾性)があります。光と湿気の二つの要因で硬化する特性を持ち、柔軟性に優れることから、折りたたみ型スマートフォンをはじめとする最新機種にも採用されています。
「フォトレックB」は柔軟性に優れ、使い勝手の良い製品ではありますが、湿気に反応して硬化するという性質ゆえに、製造から出荷、顧客の使用段階までの水分管理が品質保証上の大きな課題となっていました。また、製品はシリンジ容器に入れて出荷されますが、容器中に残留するわずかな空気中の水分が硬化を引き起こします。品質保証上のリスクを最小化するためには、品質保証部門と製造部門が緊密に連携する必要がありました。

品質保証部と製造部の連携強化で
品質保証力をUP
品質保証の業務は往々にして、製品不良時のクレーム対応など「マイナスをゼロに戻す」守りの活動と捉えられがちです。しかし、今回の受賞は品質保証自体が企業価値を高めるプラスの活動として認められた点に大きな意味があります。
滋賀水口工場の品質保証部は2022年に独立組織として設立され、ISO9001認証を基盤に、QMS(品質マネジメントシステム)運営や原料・工程・製品管理、クレーム対応、各国法規制への対応を通じて、工場全体の品質と信頼性を向上させる役割を担っています。
ファインケミカル品質保証課は現在6名体制で活動していますが、「フォトレックB」に関わる主な業務は、課長の山本拓也さんが統括し、品質保証担当の武知真理子さんが日常業務として顧客対応や製造ラインの安定性支援を行っています。さらに、ファインケミカル製造部に所属する山脇大輝さんが開発リーダーとなり、弾性レジン製品の設計・提案から量産立ち上げまでを開発メンバーと共に担っています。品証メンバーと開発メンバーが一丸となって「フォトレックB」の品質保証の取り組みを進めてきました。
まず取り組んだのが、品質保証上の課題となっていた湿気による硬化リスクに対応すること。容器設計や工程を見直し、シリンジ内の使用ガス切り替えや測定方法に至るまで、ファインケミカル製造部とファインケミカル品質保証課が緊密に連携しながら改良を重ねました。
さらに開発面においても品質保証力を高める取り組みを実施しました。従来のように外部からの調達材料を組み合わせる開発方式をあらため、自社による材料設計にまで踏み込んだのです。これによって顧客のさまざまな要望にも即応できる柔軟な体制を得ることができました。
製品の不具合を未然に防ぐ仕組みを工程内に組み込んで、品質を担保しながら開発スピードを上げるという、開発・製造、そして品質保証が一体となった取り組みが、Huaweiから高く評価されたのです。

受賞がもたらした変化と
さらなる挑戦
受賞の知らせは社内に驚きをもって受け止められました。Huaweiとの取り引きは5年程度と比較的まだ日が浅く、売上規模もHuaweiの大手サプライヤーに比べるとまだまだ少ない中での快挙であり、積水化学ブランドの地位を大きく押し上げる出来事となりました。
顧客から「品質が良い」と直接評価されたことは、品質保証部門の存在意義を再確認させ、メンバーの自信と誇りにつながっているようです。
受賞を契機に、現場の士気も大きく向上しました。Huaweiが求める技術水準は非常にハイレベルです。部門を横断しての連携を強化することで、厳しい要求に迅速に応え続けることができるようになりました。
もちろん受賞がゴールではありません。湿気による硬化のリスクを抑えることはできましたが、完全解消にはさらなる改良が必要だと品質保証課のメンバーは考えています。今後も容器や環境条件の改良に加え、製造・技術部門との共同検証を継続し、リスク排除に取り組んでいく予定です。より高い品質保証基準を適用することで、グローバルに信頼される仕組みを構築することが求められます。具体的にはクレーム発生を未然に防ぐ予防型の品質保証をさらに推進し、DXの積極的な活用によるリアルタイム監視やデータ解析を強化する方針です。

今回の「サプライヤー品質最優秀賞」の受賞は、単なる表彰にとどまらず、品質保証の価値を再定義する画期的な出来事となりました。開発と製造が連携して品質保証をすることによって、顧客に信頼される製品を届ける。その積み重ねがグローバル市場での競争力を高め、今後の事業拡大の基盤となります。
品質保証を消極的な「守り」の業務ではなく、事業競争力を高める「攻め」の機能へと進化させる姿勢が鮮明になっています。滋賀水口工場ファインケミカル部門の挑戦は続きます。
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